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入浴格差は健康格差。所得と寿命と入浴回数の関係について。

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毎日お風呂にはいる人も日本では珍しくはありません。私は泌尿器科医だけどひょんなことから日本温泉気候物理医学会という学会の正会員になっているので、温泉だけではなく入浴に関しても興味をもっています。

入浴回数と健康、そして所得などの関連性について書かれた健康関連記事をよく見かけますが、本当なでしょうか?

お金持ちほど湯船に浸かる

収入が多い、つまりお金持ちほど湯船に浸かる傾向が高い、との説があります。考えてみれば当然で、湯船にゆったりつかってリラックスする時間があるということはそれなりの所得があるからと考えられます。また、湯船にお湯を満たすということはある程度の光熱費がかかりますから高所得層の特権・特徴とも言えるのかもしません。

このようなデータの対象となっている人々に若ものの占める割合が多くなればなるほど、

湯船に浸からない人は低所得である

との結果になる点に注意をしてくださいね。

例えばdメニューマネー編集部による「「お金持ちほど湯船につかる」世帯年収とお風呂の関係──男女の入浴傾向の違いとは?」という記事を見かけました。この場合、20歳以上の1442人に聞いて上記の結果を導いています。高齢者は20才の若者より収入が多いでしょうし、ゆっくり湯船に浸かる時間もあるでしょうし、そもそも若者はちゃっちゃとシャワーで済ます場合が多いので「湯船に浸かるひとは低所得である」とも「低所得だと湯船に浸からない」とも言えないのです。

当然「お金持ちになりたいなら湯船に浸かりなさい」って感じのトンデモ健康系啓発本が出ていたとしても買う価値は無いと思います。

入浴回数が多ければ健康で長生きなのか?

入浴回数が多ければ多いほど健康であり、さらに長生きできる、との説もネットや雑誌で見かけます。

日本人が世界の他の国々の寿命と比較して長い理由の一つとして清潔をたもつ国民性が指摘されています。当然、入浴回数も他国と比較して多いのは常識とされています。「入浴=湯船に浸かる」を意味するのか、シャワーも入浴に含めるのかなど研究論文を細かく精査する必要が当然でてきますよね。

なかには、

週7回の入浴で健康寿命が伸びる

なんてご意見なのか主張なのかをなされているお医者さんもいたりします。

老人施設である特別養護老人ホームでは、週2回以上の入浴が定められているのですが、そうなると老人施設は高齢者の健康と長寿を願ってはいないことになり話は複雑化してきます。

寿命は収入で決まるとしたら、入浴しない人は早死なの?

収入つまり所得と寿命の関係については数多くの研究がなされています。例えばCNNでは「収入で寿命が決まる可能性」なんてオピニオンが掲載されています。

「所得が低い人は寿命が短い」と仮定した場合、無理くり入浴と関連つけると、

湯船につからない人は寿命が短い

という関係性も見いだせることになります(これ、ちょっとこじつけ強すぎかなw)。

実は女性の場合、大方の予想に反して高所得者の方が寿命が短いと読解できる「高齢者における所得・教育年数別の死亡・要介護認定率とその性差」(医療と社会 Vol.22 No.1 2021)などの研究もあります。

寿命と所得はなんらかの関連性がありそうだけど、所得と入浴および入浴と健康の関係は影響を与える要素(交絡因子)が多すぎて易易と回答は見つからなそうに思えます。

世帯年収と入浴頻度の関連はどうなっているのか?

2022年6月11日から開催される第87回日本温泉気候物理医学会総会にて「世帯年収と入浴頻度の関連」とのタイトルの研究が発表予定です。

非常に気になる演題(株式会社バスクリン開発部も絡んでいる件に関してはノーコメント)ですよね、抄録には結果が記載されているんだけど、じっくり発表を聴講してから報告するね、結果はかなり意外かつ予想外なんだよね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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