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おしっこって何で黄色いか知ってますか?青や緑色のおしっこが出た時の対処法

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毎日見るおしっこの色が気になる人が少なくありません。泌尿器科医としてはおしっこの検査、つまり尿検査は健康情報の宝庫だと考えています。

おしっこの色は黄色だと当たり前のように受け止めていますが、なぜおしっこは黄色なんでしょうか?人体で使用済みの水分が中心となったおしっこの色はなぜ黄色なのか、との素朴な疑問にお答えしつつ、どのような色のおしっこが出たら泌尿器科などの医療機関を受診するべきかを考えてみます。

おしっこが黄色いのはなぜ?

おしっこを使った尿検査は患者さんにとって身体的なダメージが少なく予想外に多くの健康情報を得ることができるため、健康診断や人間ドックでも気軽に行うことができる検査です。

おしっこの検査で私達医師がまず確認することが、検尿カップ中のおしっこの色です。おしっこは黄色だろ、と考えている人も多いかと思われますが、白っぽいおしっこ、赤いおっしこ、稀ではあっても青いおしっこの場合もあります。ところで、おしっこはなぜ黄色であるかをご存知でしょうか?

先日、リモートワークのお父さんに連れられてきた小学校低学年の坊やが、「先生、おしっこってどうして黄色なの?」との質問を受けて、小学生にもわかるような簡単な説明ができなかった自分を恥じて、誰にでも分かるようにおしっこが黄色である理由を説明してみますね。

おしっこの原料は血液なのです

身体の中には血液がまんべんなく循環していることは小学生でも知っていますよね。全身の血液はお腹の中の左右に一つずつある腎臓という臓器で濾過されます。全身を駆け巡って栄養を必要としている臓器に配り終えた血液は腎臓で濾過されて、再利用できる成分はもう一度体内に戻し、必要なくなった成分を尿といて体外に排出します(あまり使いたくない言葉ですが、老廃物という言葉で説明されることが多いです)。

血液は赤いことは誰でも知っていますよね、血液が赤いのは赤血球と呼ばれる血液の成分の中にはヘモグロビンという酸素を運搬する物質が含まれています。このヘモグロビンの一部がお腹の中にある肝臓という臓器でビリルビンという物質に変化します。ビリルビンは水に溶けやすい性質があり、ビリルビンを含んだ水分が腎臓で濾過される時に酸化して、ウロクローム(urochrome)に変化します。

このウロクロームの色が黄色、だからおしっこの色は黄色になるんだよ。

「じゃあ、なんでウロクロームは黄色なの?」って質問をする子、私は嫌いじゃないけど診察中だとちょっと面倒くさくなってしまうかも(笑)。

ウロペーパーⅢ

当院で使用している「ウロペーパーⅢ」は尿の白血球・ウロビリノーゲン・潜血・ビリルビン・ケトン体・ブドウ糖・蛋白質・PH・亜硝酸塩・比重を判定することができます。隣のハリネズミは本文とは無関係ね。

おしっこは黄色が正常だとしても、黄色と言ってもいろいろな黄色があるんだけど

「どうしてウロクロームは黄色なの」との素朴な疑問はすっ飛ばして、一言で黄色といっても様々な黄色がありますよね(と、話をズラします)。

特に日本語は色に関して多くの言葉があります。例えば「密陀僧(みつだそう)」って知っていますか?「梔子色(くちなしいろ)」って聞いたことありますか?「先生、昨日の夜に雄黄(ゆうおう)色のおしっこが出てしまって」と患者さんに言われても、困惑する泌尿器科医が99.9%なんじゃないかな。

黄色系のおしっこの場合、濃い黄色か薄い黄色か、その辺りのレベルで話を強引に進めます。腎臓は体内で余分な水分、いらなくなった水分を濾過しておしっこを作ります。大量に水分を飲んでいればウロクロームが薄まるために、おしっこは薄い黄色になりますし、水分が足りなければ当然濃いウロクロームを含んだ尿となるので、おしっこの色は濃い黄色になっちゃうのです。

なんか、この回答だと小学生には伝わらない気がしてきたかも⋯。患者さんの理解不足は医師の説明不足、をモットーにしてきた私としてはさらに話をズラします。

青いおしっこが出ちゃったのですが⋯

おしっこの色は体の調子を簡単に見ることができる健康のバロメーターと呼ぶ人も多いようです。黄色系以外のおしっこが出てしまう場合を考えてみます。

そもそも、「バロメーター」なんて言葉を知っている小学生なんていないだろうなあ⋯。バロメーターというのは「barometer」の日本語読みで、意味は「気圧計」なんだよねえ。なんで、健康のバロメーターって言われるようになったのか、ちょっと不思議かも。

希に「おしっこの色が青いんですけど〜❗」を主訴として来院される方がいます。

おしっこの色はベースが黄色なのに、青色のおしっこが出てしまったら患者さんじゃなくて医師でも焦ります。

さらに「緑色のおしっこが出ちゃった❗」と当院を受診する患者さんもこれまた希ですけど、いらっしゃいます。

青色という想定外のおしっこが出てしまう原因のほとんどは薬です。

青色のおしっこが出る可能性のある薬としては抗生物質のミノマイシン(一般名はミノサイクリン塩酸塩)が有名です。尿道炎の治療としてミノマイシンを選択する医師も多いので、できれば事前に患者さんに青いおしっこが出る可能性を医師あるいは薬剤師さんが伝えてくれるといいのですが⋯私が経験している青いおしっこの患者さんのほとんどは海外の薬局で入手したミノマイシン系抗菌剤が原因でした。なんで自分でミノマイシンを購入して服用したのかについては詳しくはお尋ねしなかったけどね。

おしっこが青くなる場合として、遺伝性の疾患でハートナップ(Hartnup)病やトリプトファン吸収不全症があります。これらの疾患は先天性であるために、今回の話題からは除きます。

おしっこの色が緑色になることもあります

尿閉などの理由で長期間膀胱留置カテーテルが設置されていると細菌感染がおこり、原因菌が緑膿菌だと尿が緑色になることがあります。在宅医療を行っている医師や泌尿器科医なら緑色のおしっこを見つけた場合、まずは細菌感染を疑います。

緑色を「青」と表現する人も中にはいますので、尿の色がいつもと違うなあ、と思ったらできればかかりつけ医を受診することをおすすめします。

※注意

おしっこの色が赤っぽい場合は速攻で泌尿器科医を受診してくださいね。また、おしっこの泡を気にされて受診される方も多いので、お時間があれば「尿が泡立つのは病気?オシッコが泡立って気になる方へ」を御覧くださいませ。

おしっこ(尿)の色が濃い、茶色っぽい場合

おしっこ(尿)の色が濃い、茶色っぽい場合

尿の色は健康状態によって変化するものです。脱水気味であれば、おしっこが濃縮されて色の濃い、茶色いおしっこが出ることがあります。激しい運動後はコーラ色、赤ワイン色の尿が出ることがあります。一時的な尿の変色は心配いりませんが、濃い色・茶色っぽい色の褐色尿が続く場合は病気の可能性があります。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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