究極のダイエット「不食」は、波動医学で説明できちゃうの?

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「不食」や「食べない生き方」という不思議な本が出版されています。これらは医学的常識からかけ離れたトンデモ系ニセ医学だと考えられます。

しかし、事実であるならば不食や極端な少食は究極のダイエットになると考えられますが、よくよく調べてみると限りなく怪しげなムードが醸し出されています。

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一日1食、50キロカロリーの青汁だけで生命を維持できるか?

断食、ファスティング(Fasting)、週末だけのプチ断食なんてものが流行っています。ものには加減というものがあると思うのですが、

ここ数十年、一日50キロカロリーの青汁だけで生きている人がいます❗

人間の身体はわかっているようで、まだまだわからない点がてんこ盛り。医師は軽々しく、「絶対」という言葉は使ってはならないとの教えを医師免許取得した当時先輩医師に教えられた私ですが、

いくらなんでも一日50キロカロリーで生命の維持は絶対無理❗

と、断言しておきます。生命を維持するのに必要な最低限のカロリーがあります。あります。身体を動かさないでも、内蔵は働いていますし、脳も働いています。どんなものであっても動くにはエネルギーつまりカロリーが必要なんです。

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https://www.youtube.com/watch?v=pCXPsx6TIocより

You Tubeの健康関連情報でも森美智代さんは引っ張りだこです。

50キロカロリーで生命を維持する秘訣は光合成?

森美智代さんという方がいらっしゃいます。大阪で鍼灸院を営んでいる1962年生まれの方です。この方は「不食」と呼ばれる一派に属していて、トンデモ酵素栄養学の権威である甲田光雄医師を私淑しています。

森美智代さんの著書「食べない生き方」(出版はトンデモ御用達のサンマーク出版)によれば、ケール・ハクサイ・フダンソウ・チンゲンサイ・セロリを150グラムを原料とした自家製の青汁を150mLのコップ一杯とビール酵母の整腸剤(エビオスかな?)と藍藻を原料としたサプリメント、ビタミンCの錠剤少々、柿の葉をお茶にしたものを1.5L〜2Lで2021年現時点でも健康にお過ごしです。

上記のメニューが果たして50キロカロリーに相当するかは栄養士さんなどの検証を待ちますが、

安静にしていても呼吸はしますし、心臓は動きますし、もちろん脳も活動しますので、最低限の基礎代謝量として森美智代さんの年齢であれば1100キロカロリー程度は必要になるはずです(参考資料:厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-004.htmlなど)。

生命を最低限維持する為に不足するカロリーはどのようにして補っているのでしょうか?

なんと森美智代さんは光合成によってカロリーを補っているのです❗(爆)

船瀬俊介氏の著作「やってみました! 1日1食」(三五館発行)で森美智代さんと一緒に海外旅行をしたさいに森さんの食生活を見て、

核反応系・太陽系のエネルギーによる光合成を使用していると驚いています。まあ、人体で核反応が起こったり、ヒトが光合成をおこなっていることにこっちは驚いちゃうんだけどね。

不食のエネルギー源は宇宙エネルギー、と波動さんは言うけれど

トンデモ系ニセ医学で使用される疑似科学用語として、「波動」があります。波動医療の大家(笑)である船瀬俊介氏は当然森美智代さんとも交流があります。

船瀬氏は不食のメカニズムを

宇宙エネルギー → 経絡 → ソマチッド増殖 → 血球細胞 → 体細胞

と、「氣」(気じゃないよ)の大家である博士のレクチャーを受けて納得しています(未来を救う「波動医学」共栄書房 P254)。

あれ、あれっ。先程まで不食のエネルギーは光合成である、と説明していた船瀬氏、今度はソマチッドとかがでてくる波動で説明しちゃっている。

波動医学にご興味のある方はこちらをどーぞ。

トンデモ医療の王様、量子力学にもとづいたと称する波動医学には近寄らないが吉❗

トンデモ医療の王様、量子力学にもとづいたと称する波動医学には近寄らないが吉❗

一般的な標準医療を否定し、陰謀論まで持ち出してくる人たちの中には医療従事者も少なからずいます。そんな人たちがどんな医療を行っているかというと、常識ある人からすれば胡散臭い医療です。そんなインチキ医療の総本山ともいえるのが波動医学なるニセ医学。世の中に蔓延るトンデモ医療を調べてみるとたいてい波動医学に行き着きます。

断食で遺伝子が変化するわけないじゃん❗

森美智代さんは一日50キロカロリー生活を継続することによって、病気がちだったのがどんどん健康になったそーです。さらに食べない生き方を実践することで肥満遺伝子である「β-3アドレナリン受容体遺伝子」が変異していたとのこと。

確かにβ-3アドレナリン受容体は脂肪細胞中から脂肪を取り出したり燃焼に関連しています。β-3アドレナリン受容体の変異型は脂肪の分解を抑え、基礎代謝の低下することが試験管レベルの実験結果が「Mutation of beta 3-adrenergic-receptor gene and response to treatment of obesity」(Lancet: 1995 Nov 25;346 (8987) :1433-4.)報告はされています。

しかし、食生活によって遺伝子に変化が起きるかあ???

と、考えるのが普通の思考回路。でも、そうだった、そうだった、森美智代さんの体内では核反応が起きているのですから、遺伝子くらい変異しますね(笑)

「不食」だと、こんな良いことがありまーす

森美智代さんは食べない生き方を選択することでたくさんの良い経験をするようになったそうです。

  • 気のパワーが出るようになった
  • オーラが見えるようになった
  • 運が良くなった
  • 宇宙から愛されている存在であることがわかった

「不食」とか「食べない生き方」は限りなくスピリチュアルに近づいて行くことが理解できますね(まあ、サンマーク出版の本ですから)。

ちなみに森美智代さんはご自分の前世である「マルデク星人」と遭遇されているそうです。自宅で寛いでいる最中に急に目の前に緑色の顔の宇宙人が現れたそうです。なぜマルデク星人であるかとわかった理由はマルデク星人がご自身の体の中に入ったからのようです(前掲著書P128) 。ぜひ韮澤たま編集長に連絡してくださいね。

森美智代さんにお尋ねします、本当に一日50キロカロリーを数十年間継続していますか?

まあ、スピ系の啓発セミナービジネスのつかみとして健康法として不食や断食や食べない生き方関連の書籍をお出しになっているのかなあ〜、なんて大人の解釈をしておきます。

どうしても森美智代さんにお尋ねしたいことがあります。

本当にここ数十年、一日50キロカロリーだけで生命を維持していますか?

というのも、森美智代さんのFacebookでこんな投稿を見つけてしまったのです。

わーい!広告出たー。これで、お正月の御馳走は終って、少食生活突入。

https://www.facebook.com/michiyo.mori.14/posts/348126205329938

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「お正月の御馳走は終わって」と書かれていますよね。ってことはお正月は50キロカロリーの青汁一杯だけではなく、お正月用の御馳走をお食べになっていた、との解釈でよろしいでしょうか?

あるいはお正月用に用意したスペシャルな青汁が存在するのでしょうか?さら少食ではない生活を送っていたからこそ、「少食生活突入」と書いてしまったと思うのですが⋯。

森美智代さん、著作のP2で

五0キロカロリーのみーという生活を、この17年ほどの間ずっと続けています

でプロローグとして書いていますよね。この本が出版されたのが2013年11月30日、前掲のFacebookの投稿は2014年1月8日。少なくとも2014年のお正月は青汁以外の御馳走を食べてるじゃん❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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