2019年のトンデモさん、ニセ医学の総ざらい10大トピック❗

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「トンデモ」という言葉が本来の意味から拡大して使用されています。本人は真面目に語っているけど、誰だ見てもヘンテコな内容の本を「トンデモ本」と名付けた「と学会」が1995年に「トンデモ本の世界」を出版したことが原点です。その後、「トンデモ」は偽物やインチキを意味するように変遷しました。今回はトンデモの定義に則って2019年の「トンデモさん」の活躍ぶりを振り返ってみます。

本年もトンデモさんは続々と湧き出てきました

暮れも押し迫ってきました。トンデモやニセ医学についてブログを書き出して、6年以上経過しました。かわいげのあるトンデモさん、ひと様に明らかに迷惑をかける、なかには命に関わる間違った医療情報で満載のネットです。

私が2019年にブログにアップしたトンデモ医学やニセ医学を総ざらいして来年のトンデモ・ニセ医療業界の動向を探ってみますね。

人の命を左右しかねない間違ったニセ医学

新年早々、例のトンデモ武田邦彦教授の「喫煙はアルツハイマー型認知症の予防になる」説に関するブログを書きました。

喫煙はアルツハイマー型認知症の予防になる⁉週刊新潮のトンデモ記事に物申す❗

喫煙はアルツハイマー型認知症の予防になる⁉週刊新潮のトンデモ記事に物申す❗

喫煙はアルツハイマー型認知症の予防になるという記事がでていますが医師として物申したい。ニコチンが医学的に貢献をする可能性は否定できませんが、少なくともニコチンにアルツハイマー型認知症を予防する、あるいは改善する効果があったとしても、現代医学の利点を有効活用する上で喫煙をする必要はありません。

このブログ、実は大失敗を私をしてしまって、日付を2018年と書いちゃったんだよね。武田邦彦教授のヘンテコなお話を私も取材協力は惜しまない週刊新潮が掲載してしまったことを批判したものです。

知ってか知らずかは不明ですけど、武田邦彦教授は「透析患者が増えている原因は薬害である」とのこれまたヘンテコなご意見を述べています。

医療に関して、またまた武田邦彦教授が根拠のないトンデモ話を拡散⁉

医療に関して、またまた武田邦彦教授が根拠のないトンデモ話を拡散⁉

メディアへの出演の多い武田邦彦さんは工学部出身の理系、材料工学・環境問題に詳しい「科学者」ですが、専門外である医療問題でも情報発信が多く、残念ながら医師から見るとおかしな点がちらほら見受けられます。情報は受け取り手次第ではありますが判断材料になるよう医師として情報発信します。

現在透析を受けている患者さんの数が増加するのは当たり前、だって健康管理が昔より改善されているのですから。

来年も武田教授の動向からは目が離せません。

芸風は変わらないトンデモ界の大御所とも言える船瀬俊介氏

以前から化学物質の危険性を必要以上に煽って、信者とも言える人々をゲットしてきた船瀬俊介氏。私は船瀬氏のことを、「電磁波怖い怖いさん」と密かにネーミングしていましたが、そのネーミングは大正解だったようです。

「次世代通信規格5Gでムクドリが大量死❗」ってデマを後押ししたトンデモさんへ。

「次世代通信規格5Gでムクドリが大量死❗」ってデマを後押ししたトンデモさんへ。

電磁波はケータイ電話の広まりに合わせて健康に悪いという説も一部で信じられています。日本だけでなく海外でも信じられていたりします。ですが、当然デマ情報がふんだんに盛り込まれています。2020年代の通信の主流になる予定の5Gでも電磁波デマは加速しています。都市伝説とも親和性がたかいのですがデマは信じないでくださいね。

海外ではデマ認定されている次世代通信規格5Gの健康面への悪影響を週刊誌の女性自身でご披露していました(あっ、そういえば女性自身も私は取材協力しているっけ)。

予想以上にトンデモさんが世の中に蔓延っているため、こんなブログも書きました。

患者さんがトンデモ健康法の信者だった場合、医師の対応策は「まずは敵を知ろう!」だよ。!

患者さんがトンデモ健康法の信者だった場合、医師の対応策は「まずは敵を知ろう!」だよ。!

トンデモ健康法のなかには「左回り健康法」があり、逆に「右回り健康法」もあります。そのような単純な矛盾に気が付かないトンデモの影響を強く受けた患者さんへの対応方法を現場の医師が経験を踏まえて少しだけ皆さんにお伝えします。トンデモ理論を信じてしまっている人が身近にいた場合、対処方法として参考にしてください。

健康の秘訣は「左回りにあった」なんて一般書籍が販売されていることに驚いた人も多かったようですが、私の書棚はこっち方面の書籍で溢れかえっています。

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私の書棚のごくごく一部です。

信頼できる健康情報サイトよりトンデモ系ニセ医学情報サイトの方が人気があるのかも

家庭用品メーカーのフマキラーが運営しているサイトでさえこの有様でした。

フマキラーさま、信頼できると判断した情報源による健康関連記事は明らかにトンデモです。

フマキラーさま、信頼できると判断した情報源による健康関連記事は明らかにトンデモです。

殺虫剤の有名メーカーであるフマキラーのウェブサイトに「蚊に刺されたらアルカリ性の石けんを使用する」「お湯につける」「ドライヤーをあてる」等といった医学的には効果は全く認められていないだけでなく、健康被害さえ起こりうる健康関連記事が掲載されていました。なぜトンデモ記事が有名メーカーのサイトに掲載されてしまうのでしょう?

医学的に全く根拠のない話なのに、蚊に刺されたらアルカリ性の石鹸で洗うことを推奨していたのです。現在は記事は取り下げになってます・・当たり前じゃん。しかし、こんないい加減な健康関連情報をわざわざ社内で慎重に精査する必要があるのかねえ。

過去のトンデモ系ニセ医学と判断していた「水素水」関連、私が甘かった。いまだに水素水あるいは一般家庭で入手できる水素発生装置が健康に良いと考えている人が多数存在しているようです。

トンデモ系ニセ医学が後を絶たない理由⋯科学リテラシー不足が原因では無いかも。

トンデモ系ニセ医学が後を絶たない理由⋯科学リテラシー不足が原因では無いかも。

本当に基礎的な科学知識さえあればニセ医学に騙されることはありません。ニセ医学情報に振り回される人が多いのは、理系教育の敗北である、と考える人もいます。しかし、日本人の理数系の知識は世界的にみても極端に劣っていません。日本人に日本語が通じなくなっていることが、ニセ医学にだまされてしまう大きな原因だとも考えられます。

大人になるにつれて科学的な知識や常識が消え去っていくのです。トンデモさんやニセ医学を信じ切っている人を、「理系の知識が足りない」とか「義務教育受けているか」的に批判することはやめましょう、騙された人が悪いのではなく、騙す方が悪い、との私の思想信条を強く訴えたブログです(ってそこまで力を入れる必要も無いか)。

医師がニセ医学信奉者を実際に診察したときの注意点

トンデモさん方面はある意味で面白がって様子を伺っていても重大な健康問題が発生することは少ないと判断しています。しかし、明らかに健康を害するニセ医学は大問題。そこで医療関係者にぜひ読んでもらいたいと考えて「医師が知らないニセ医学」シリーズを開始しました。

医師が知らないニセ医学【その1】 EM菌の医療への応用はトンデモだよ

医師が知らないニセ医学【その1】 EM菌の医療への応用はトンデモだよ

EM菌という不思議な物体があります。このEM菌はもともと土壌改良とか汚染水改善等に使用されているもので、農産物の育成にも使われ素朴な地方の道の駅などで見かけることがあります。このEM菌の医療への応用はニセ医学なので注意が必要です。EM菌を薦める医師に気をつけてください。

力を入れて書いたつもりなんですが、現時点ではあまり人気は無いです(涙)。医師の多くが実はネット情報というかソーシャルを情報収集手段として使用していないのが問題だと思うんだけどなあ。

ネット上で某市議会議員が暴論を拡散していたことも知らない医師が多数なんです。

群馬県伊勢崎市のトンデモ市議会議員こと伊藤純子氏に喧嘩を売られたっぽい。

群馬県伊勢崎市のトンデモ市議会議員こと伊藤純子氏に喧嘩を売られたっぽい。

動画サイトの流行と都市伝説・陰謀論の流布により、若い世代にデマが広まっています。議員という責任重大な立場にありながら、反ワクチン的発言を行っている伊勢崎市の市会議員がいます。非科学的ニセ医学に惑わされた反ワクチン派の市議の主張がどれだけヘンテコなものであるかを解説します。

Twitterで積極的に正しい医療情報を伝えている医療関係者の参加によって、このヘンテコな議員さんは現時点では沈黙しているっぽいけどね。

2019年暮れも押し迫って大型のトンデモさんが登場しました

この案件はニセ医学として非難されるべきものではなく、皆さんで笑いましょう的トンデモの典型です。

インスタで拡散している「肛門日光浴」は久々の大型トンデモ医学案件です(笑)

インスタで拡散している「肛門日光浴」は久々の大型トンデモ医学案件です(笑)

強烈すぎてインスタ映えと呼んで良いのかわからない「こうもんにっこうよく」。SNSで大きな話題となりましたが、その奇抜さや世界観?はさておき、普段日光にさらされることのない人間の肛門、はたして日光に晒して良いのでしょうか??医学的な視点から検証してみます(笑)お尻のではなく肩の力抜いてよんで笑ってください。

広大な敷地をお持ちの方はこのトンデモ健康法をお試しになるのはご自由です。住宅事情に恵まれていない日本で肛門日光浴を行ったらかなりマズイことになりそうですよね。私としては家人にこの健康法を実践している姿を見られても嫌ですし、子供に見られたとしたら父親の面目は丸潰れでしょうね。

2019年、最後の最後にトンデモが登場しました。

「モヤさま2」で放送された「水素水を使った足湯デトックス」はトンデモの二乗だよ❗

「モヤさま2」で放送された「水素水を使った足湯デトックス」はトンデモの二乗だよ❗

足湯は気持ちいいものです。ですが、その水に水素水(とされている)を使い、しばらくするとその水が茶色いヘドロのように変色し、体内から毒素が排出されたということにするインチキビジネスです。インチキとんでも商法をTVを使って宣伝し、それが私の好きな番組だったので、医師としてというより一人の男性として許せません。

以前から仕組みはインチキだよ、とお伝えしていた足湯デトックスです。なんと本年は水素水までご利用になった足湯デトックスが登場して、私が好きな番組である「モヤモヤさまぁーず2」で取り上げられたのです。

まあ、さまぁ〜ずのノリですから、全体の流れとしては許せますけど、登場した水素水をプラスした足湯デトックスをおこなっている店舗の人の能書きが酷すぎました。この水素水をトッピングした足湯デトックス、調べれば調べるほど怪しさ満点かつエステや整体院で人気があるようなんで、トンデモから人様に迷惑をかけるニセ医学に発展しそうな予感がします。

そういえばこんな本を本年出しました(わざとらしいか笑)。

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Amazonでも、紀伊国屋書店でも、全国書店ネットワークでもお買い上げいただけます。電子書籍版も出しましたので、年末年始をニセ医学やトンデモをご堪能くださいませ。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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