VOGUEの“菌活”を拗らせたライターさんの記事はツッコミどころ満載。

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VOGUEという世界的に有名なお洒落な雑誌があります。VOGUEの「BEAUTY / WELLNESS」中の菌活に関する記事が面白すぎます。

菌活の定義は明確ではないにしろ、あるきっかけで菌活に目覚めた「漢方養生指導士(漢方スタイリスト)」や「養生薬膳アドバイザー」の資格があるライターさんが、ご自分の体験を記事にしているのですが、医学はもちろん栄養学や生物学の知識もかなり怪しく、ツッコどころ満載なんです。

危なっかしい知識で食を語るライターさんの記事、きっと意識高い系の方々を魅了するんでしょうね。

体験談が怪しすぎな菌活ライターさんの記事

“菌活”に効く、とご自分の体験をおすすめ発酵食品を公開的な記事を書いているライターさんがいます。「漢方養生指導士(漢方スタイリスト)」や「養生薬膳アドバイザー」の資格をお持ちであるために、それなりに信頼度の高い記事であると考えてしまっている純真な読者も多いことと思われます。

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VOGUE “菌活”に効く、おすすめ発酵食品を公開!【実録!私のカラダ改革〜ライターK編 Vol.2】https://www.vogue.co.jp/beauty/article/kinkatsu02-self-reformationより

しかし、菌活、菌活、と言ってるこのライターさんのこの文章がひっかかりまくってVol.1まで目を通してしまいました。

健康診断の時に担当した医師が次のように言ったらしいのですけど⋯

「いやぁ、医者も驚くくらいの善玉菌の数ですね。立派です。何食べてます?」

https://www.vogue.co.jp/beauty/article/kinkatsu02-self-reformation

この話、盛っているよね⋯

健康診断の時に問診担当の医師がこんなこと言うかあ???

と、私と思いました。だってさあ、健康診断で検便したとしても、便に血が混じっていないかを見るのが目的だし、培養検査もしないでどうやって善玉菌を特定したんでしょうかねえ???

普通の検査所の場合は善玉菌であろうと悪玉菌であろうと培養検査が必要となるので、検査結果が出るには2~5日はかかりますし、便の培養を健康診断で行ったなんて話は聞いたこと無いぜ。

発酵玄米は炊いた玄米を炊飯器中で発酵させるもんじゃないと思うぞ❗

さらにかなりリスキーなことをこのライターさんは実行しちゃっています。

発酵玄米がびっくりするほど美味しかったので、見様見真似で一時期は、圧力鍋で炊いた玄米を炊飯器で寝かせて発酵させていた。

https://www.vogue.co.jp/beauty/article/kinkatsu02-self-reformation

炊飯器内で炊いた玄米を寝かせちゃうと、セレウス菌や黄色ブドウ球菌とかが原因となって食中毒になるリスクが多いに考えられます。

この発酵玄米は「酵素玄米」とも「寝かせ玄米」ともアノ界隈では呼ばれている様子です。アノ界隈とは発酵と酵素と酵母を間違えている界隈のことね。

「酵素と酵母の違い」誰でもわかるように解説しちゃうよ❗

「酵素と酵母の違い」誰でもわかるように解説しちゃうよ❗

酵母は微生物の一つで、生物ですが、酵素は生き物ではありません。酵素はタンパク質でできた触媒(反応をスムーズに進める物質)です。酵素と酵母は名前は似ていますが、酵素は物質であり酵母は生物と全く異なるものなのです。混同されがちな上に、健康食品系の広告で誤記や勘違いさせる表現が多いのでこの違いを分かりやすく解説します。

玄米を発酵させた理由が「消化不良を起こしやすいと聞いていたので、発酵させたほうがいいと思った」そうーです。

発酵×発酵の法則でビネガーを混ぜちゃったら菌は死滅しないの?

豪快な菌活ライターさんは夏場にはこんなことまでしちゃっています。

夏場は食欲がなかったためにデザート代わりに食べていたヨーグルトに

これも発酵×発酵の法則で、夏はときどきフルーツビネガーを混ぜたりしていた。

https://www.vogue.co.jp/beauty/article/kinkatsu02-self-reformation

らしいです。

発酵×発酵の法則が何を意味しているのか理解できないのは私の勉強不足が原因だとしても、

ビネガーって酢じゃん❗酢って殺菌効果があるんじゃ無いの?

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ミツカングループ 「食品の防腐からキッチンまわりの洗浄までナチュラルで安心な食酢の抗菌効果」http://www.mizkan.co.jp/company/newsrelease/2006news/060515.html

せっかく菌活で意識していた食材に酢をかけちゃったら善玉菌だろうと悪玉菌だろうと、それなりの被害を受けてしまうような気がするのは私だけなんでしょうか?

マクロビを拗らせた漢方養生指導士のライターさん

この漢方養生指導士のライターさん、あっと失礼、「養生薬膳アドバイザー」の資格もお持ちのライターさんはどうもマクロビオティックと言う食事方法を間違って理解して応用しているよう感じられます。

というのも、そもそも菌活を始めたきっかけが

「あなたは体全体が冷えているから、温性のものを多く食べたほうがいい。特に胃腸を冷やしては絶対にダメ」https://www.vogue.co.jp/beauty/article/kinkatsu01-self-reformation

と中国人の友人にアドバイスされたことですから。

このマクロビオティックはかなりの難敵で、元祖は石塚左玄氏という明治時代の軍医が創始者である「食養会」に所属していた桜沢如一氏が世界中に広めた東洋の陰陽論を基本とした食事方法です。マクロビオティックは意識高い系あるいはリアル意識の高いハリウッドセレブにも人気なので耳にしたことがあると思います。

このマクロビオティックは多数の流派というか真似っこ食事法が出ているために、難敵なんです。今現在人気のあるマクロビ(マクロビオティックを略して呼びます)は陰陽論を基本とした食事+ヴィーガン食でありさらに話は複雑になっちゃうのでした⋯

マクロビの基本は食材を陰と陽に分類して、陰は体を冷やす、陽は体を温める、と考えています。玄米は当然「陽」で体を温める効果があるとマクロビでは説明されています。マクロビの基本的な考え方として陰と陽をバランスよく、できれば1:5の割合で食すことが推奨されています。

ちなみにナトリウムは陰であり、カリウムは陽です。でもさあ、日本食品標準成分表2015年版」によれば

玄米のナトリウムとカリウムの比って1:230なんだけどなあ⋯

この辺り、菌活に目覚めてしまったライターさんはどのように今後説明してくれるのか、「ライターKの私の“菌活” Vol.3に続く」が待ち遠しいです❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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