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2020年のトンデモさん達!ニセ医学の総ざらい【その1】1月〜3月編

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「トンデモ」の正しい使用方法に関してはいくつかの流派が存在しています。

私としては基本に忠実かつ正しい「トンデモ」を使うように意識しつつ世間一般の「とんでもないこと」としても使ってしまうこともしばしばあり、2021年は正しい「トンデモ」の使い方の啓蒙活動に力をいれよう目論んでいます。

わたし自身が2020年に「トンデモ」をタイトルに入れたり、文中に「トンデモ」を使用したり、カテゴリーを「トンデモ」に入れ込んだブログ記事を読み返して、本年のトンデモ案件のおさらいをしたいと思います。

2020年1月のトンデモさん

2020年はそれこそトンデモない年になりました。個人的には無かったことにしたいくらいです。トンデモという言葉が普通に使われるようになって10年程度、ネットで頻回に見かけるようになったのは、ここ5年位だと思います。

まず、2020年がヘンテコなウイルス一色に世界中が覆われるとは予想もしなかった、1月2日のブログ記事がこれ。

トンデモが超一流医学専門誌に掲載、「インフルエンザなどのウイルスは宇宙から飛来して来た」説の顛末。

トンデモが超一流医学専門誌に掲載、「インフルエンザなどのウイルスは宇宙から飛来して来た」説の顛末。

ウイルスは地球外から飛来してきた、というトンデモ説が超一流医学誌に掲載されています。しかし、ランセットに掲載された地球外から飛来したウイルスとされるSARSは地球の生物の間から見つかっており由来は明確となっています。中国で原因不明の肺炎患者が続出⋯原因不明の肺炎の原因も宇宙から飛来したウイルスなのでしょうか?

ランセットという超一流の医学専門誌にウイルスは地球外生命体ではないか、との投稿が掲載されているのを見つけてしまいました(「The Lancet」は英国発祥の医学専門誌でランセットの意味は手術に使うメスのこと)。

よくよくこの論文を見返してみれば、かなり語弊はあるけど、ざっくりの表現で言えば「読者欄」への投稿なんですけどね。このような論文は正統派の「トンデモ」の1つです。

真面目に自分の言いたいことを書けば書くほどドツボにハマり、通常と言うか正常な判断力を失った文章が羅列しているのを「トンデモ本」と正統派は呼びます。例えばこの管理栄養士さんの場合。

管理栄養士さんのトンデモ健康関連記事を赤ペン先生してみました❗

管理栄養士さんのトンデモ健康関連記事を赤ペン先生してみました❗

医学的裏付けの無い治療の中にはトンデモというより、デタラメ、インチキという言葉が適切な悪質な手法もあります。それを宣伝する医療関係者も残念ながら存在します。栄養のプロである管理栄養士の中にもトンデモさんはいます。web上で活躍中のトンデモ管理栄養士のトンデモたる所以を医師としてチェックしてみました。

トンデモというよりはたんなる知識不足をご披露しているだけであり、知識がスッカスカ。こんな感じの素人ライターの記事が溢れかえっているのがウェブサイトであり、トンデモという可愛げはあまり感じられません。

本来のトンデモとはかけ離れている、ニセ医学はこれからも「ニセ医学・疑似科学」というカテゴリーで徹底的に取り上げていきたいと思います。例えば、高濃度ビタミンC療法を布教している一派。

高濃度ビタミンC点滴療法、「がん治療に効果が無し」には医学的根拠が多数あります。

高濃度ビタミンC点滴療法、「がん治療に効果が無し」には医学的根拠が多数あります。

高濃度ビタミンC点滴療法は、人間の癌治療に効果無しと結論づけた論文は多数あります。一方で動物実験では効果が期待できそうな結果が出ており、今後もビタミンCによるがん治療への効果に対する研究を続けて行っていくことは重要といえます。現時点では癌治療の選択肢として高濃度ビタミンC点滴療法を選択する理由・医学的根拠はありません。

まともな医学知識を持ち合わせていたら、こんなニセ医学に毒されるはずはないのに、かなりの医師が高濃度ビタミンC界隈にどっぷりはまり込んでいます。

私が正統的な医学系トンデモとして評価しているのは、「精神病はおばけの仕業だ!」(甲斐睦興医師)や川尻徹医師の「芭蕉隠れキリシタンの暗号―『奥の細道』は予言アナグラムになっていた!」「ノストラダムス戦争黙示」などの一連のシリーズであり、お金儲けとは確実に一線を画する、逆にたぶん稼いだお金が流出する一方のトンデモさんが大好きです。たぶん、ご家族に「お父さん、もういい加減にしてよ」と言われつつ、クリニックでは「先生〜、患者さんがドン引きなんですけど」って言われていたんでしょうね。

2020年2月のトンデモさん

このあたりから、中国発のヘンテコなウイルスの厄介さが知られてきました。どうしてもそっちの話題をブログ記事にしたかったのですが、ヘンテコな感染症の詳細が明確にはなっていなかったので(現在でも不明点は多い)意識して関係ない話題を遡上に載せました。

Facebookの健康医学情報、意識高い系の人がマウントする場になっている模様。

Facebookの健康医学情報、意識高い系の人がマウントする場になっている模様。

SNSで医師だったら笑い飛ばすような健康医学情報でも、ありがたがって「シェアさせていただきます」とする残念なケースが目につきます。特にFacebook上では、海外在住の日本人による「日本って遅れているのよね!」に押し切られてしまい、自分でその指摘されたことの真偽を確かめようとしません。特に年配者に多い傾向です。

SNSを使いこなして仲間というか、信奉者というか信者というか、カモというかを獲得する術に長けた人々がいます。ネットでは「出羽守」とも言われつつ、意識高い風を装ったいわゆる「意識高い系」さん達です。

当時、ヘンテコな感染症絡みのワイドショーに出まくっていた、医師がいてこの方は自分の言っていることに間違いがあるとは全く疑いもしない点が大物トンデモさんの予感がありました。

鼻を冷やすと風邪を引きやすい?「データあります」と医師が語ると信じちゃうかも。

鼻を冷やすと風邪を引きやすい?「データあります」と医師が語ると信じちゃうかも。

テレビで医師が「鼻を冷やすと風を引きやすい」と発言し、しかもデータがあります、との言葉を付け加えてました。テレビで医師がいうのだから、きっと信頼できるデータああると視聴者は思い込むでしょう。テレビに出る医師も軽々しく研究レベルの論文を持ち出して、「エビデンスがあります」「データがあります」はご遠慮願いたいところです。

個人的にはこのままいい感じで医師系トンデモさんとしての大成を望んでいたのですが、言質に関してかなりの批判があり、なかには直接的な抗議活動にまで踏み切った人々が出現したために、以後「データがあります」先生に関わらないようにこころがけました。

実は私は健康に関する「おばあちゃんの知恵」が大好きで、昔の庶民の知恵って凄いなあと感心する反面、先人たちの知恵を利用してビジネスにしてしまう人々を憎んでおります。例えばこれ。

伝統的民間療法「里芋湿布」おばあちゃんの知恵をいじめるな❗(笑)

伝統的民間療法「里芋湿布」おばあちゃんの知恵をいじめるな❗(笑)

民間療法として愛されてきた「里芋湿布」によって乳がんを治療したと主張する人がいますが、民間療法で乳がんを治療した、あるいは腹部のがんを治した、との話はあくまで体験談レベルであり全面的に信じてしまうことは危険です。治るものさえ治らなくなる危険がある、自然派をこじらせた民間療法にご注意ください。

里芋湿布なんて効果があるわけないのですから、真面目に批判する医師を冷めた目でウォッチングする非常に性根の腐った自分が時々嫌になります。しかし、「芋パスター」って個人的にはパワーワードなんだけどな。

そして、胎内記憶というホンワカした家庭内でいい話だなあレベルで収まればだーれも文句を言わないことをビジネスにしてしまった医師がいて、それを支持するかのような記事を掲載した無責任なウェブサイトにはちょっとばかり怒って、こんなブログ記事を書きました。

ママサイト「たまひよ」大丈夫かぁ?トンデモ健康医学情報が満載だぞ!

ママサイト「たまひよ」大丈夫かぁ?トンデモ健康医学情報が満載だぞ!

妊娠中のママさんは自身の健康はもちろんですがお腹の中の子供の健康に気を使います。正確な情報と思い込んでいたものがトンデモ情報だったという悲劇が情報化社会あるあるになっています。例えば、妊婦がこたつを使うと胎児に悪影響なんていうデマを子育て情報サイトが発信していたりします。ネット上の医療情報は間違った情報が多すぎます。

菩薩の領域に到達したとの噂もある池川明医師が唱える胎内記憶、精子の時代にまで遡ることを信じてしまう人々がいることの驚くとともに、令和の時代は私が個人的に好むトンデモさんが育つ余地はなさそうでちょっと悲しい気分になりました。

そして、これはトンデモと笑い飛ばすところが一片も無い、ニセ医学です。

【ニセ医学】ホメオパシーで新型コロナ感染予防はデタラメだらけ。

【ニセ医学】ホメオパシーで新型コロナ感染予防はデタラメだらけ。

ニセ医学であるホメオパシーを崇拝する一味が世界的なパンデミック騒動のどさくさに紛れて、ウイルス対策に効果的かのように思わせる商品の販売を始めました。原発事故の時と同じく、解決方法が見えない不安な世の中になると、何が正しいか分からずに迷いながら死んでいくことが耐え難い人たちは救いを求めます。そこにつけ込むのがカルトです。

十分な理系の知識を持ち合わせていたら、間違いなく笑い飛ばせるホメオパシーをネタにしてお金儲けをしようとこころみる人が出てきちゃうのです。幸いにしてこの記事は現在は削除されたようです。

まあ、私もいままで数々のバトルを繰り広げて知識をつけたので、当然魚拓とスクショは確保しております。

2020年3月のトンデモさん

今年は3月に入ると、ヘンテコな感染症の話題でもちきり。私も院内の対策と患者さんの対応で大忙しでした。世界中に蔓延しつつある感染症の検査方法についての論争が勃発して、私もその渦中になぜか町医者として入り込んでしまいました。難しい検査用語を一般の方に説明するためにかなりの労力を使い切り、トンデモさんのブログ記事としては、やたらめったらと添加物をこわがる一派の話題をやっと一本取り上げました。

「医師が食べたくない加工食品」医学的根拠よりも、好き嫌いの話だったりして(笑)

「医師が食べたくない加工食品」医学的根拠よりも、好き嫌いの話だったりして(笑)

世の中、加工食品だらけです。加工食品=悪、と決めつける、もしくは、わかってはいるけど安いし便利だしと思っている方も多いでしょう。加工食品を避ける生活は不可能ですが、医師が食べない加工食品と聞けば、とりあえずそれらを避けておけば安心と思いませんか?でもその情報って正しいのでしょうか?

医師はカップ麺を食べない、なんてことを俎上に載せたトンデモ記事は以前からウォッチングしていた食品ジャーナリストさんのご高説はトンデモというよりは裏付けのない思い込みレベルであり、私利私欲を捨て去った私が愛するトンデモさんとは全く違った煽動家になってしまっていたようです。

令和は昭和の大物トンデモさんと比較して残念な傾向が⋯。

真正かつ神聖なトンデモさんは私利私欲なんて一切考えません。独自の理論を打ち立てて、それがどうみてもロジカルではない点、および真剣になればなるほどヘンテコな雰囲気を醸し出します。

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名を残す立派なトンデモさんになりたいのであれば、ちまちました小金稼ぎはやめて、この●里正治先生(医師免許をお持ち)レベルの豪快さを狙ってほしいです。

平成のトンデモさんは昭和のトンデモさんと比較して、小粒である、なんて評もあります。令和のトンデモさんは面白みのないニセ医学・疑似科学であり、笑い飛ばす対象ではなく忌避するべきものに成り下がった感が漂っていて残念です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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