おしっこ(尿)がまったく出ない

尿がまったく出ないという症状について

健康な成人の1日のおしっこの量はだいたい1,000ml〜2,000ml程度ですが、膀胱に尿がたまっているにもかかわらず、さまざまな原因で尿がまったく出なくなることがあります。これを尿閉ともいい、急に出なくなる場合と、徐々に出なくなる場合があります。

急に尿が出なくなった場合は、膀胱に尿が最大限にたまっているため強い尿意を感じ、膀胱の壁が伸ばされて下腹部に強い痛みが起こります。時には不安が強くなり、冷や汗をかくこともあります。
一方、徐々に出なくなった場合は、尿意を感じなくなって少しずつ尿がもれることもあります。膀胱は常に満タンの状態ですから、尿が腎臓に逆流して腎臓の機能が低下することがあります。

尿がでなくなってしまう原因

腎臓でつくられたおしっこは、膀胱にためられます。膀胱に尿がある程度たまってくると膀胱が収縮し、膀胱の出口にある筋肉が緩んで、尿道(尿の通り道)を通って排泄されます。
もし、膀胱の動きをコントロールしている神経に障害があってうまく膀胱が収縮しなかったり、膀胱の出口が十分に開かなかったりすれば、膀胱に尿がたまったままになります。これを神経因性膀胱といいます。また、膀胱から尿が流れ出ても、尿道がふさがれていれば尿が外に出ることはありません。尿道がふさがれる原因として中高年以上の男性に最も多いのが、前立腺肥大症です。その他にも、尿道結石、尿道腫瘍、膀胱腫瘍、陰茎がん、真性包茎なども尿道をふさぐ原因となります。

疑いのある疾患

前立腺肥大症

膀胱の出口にあり、尿道を囲むようにして存在する前立腺が肥大して、尿道を圧迫し排尿障害を起こします。その他、頻尿、夜間頻尿、尿意を我慢できない尿意切迫感、尿の勢いが弱い、残尿感などの症状が出現します。

加齢とともに増え、70才以上の男性の約70%に前立腺肥大症があるといわれています。治療として薬物療法や、外科的な治療があります。

尿道狭窄(にょうどうきょうさく)

交通事後などの外傷や尿道カテーテルを膀胱に留置している場合、尿道炎などの炎症の後遺症によって尿道が狭くなり、尿が出にくくなる病気です。また、尿道の筋肉が過敏になって頻尿や尿漏れを起こす場合もあります。重症になると自力で排尿ができなくなり、適切に治療しないと尿路感染症や腎臓機能の低下の原因となります。

治療としては尿道の拡張や、内視鏡的尿道切開などがあり、これらの治療後に再発する場合は、尿道の再建手術を行います。

尿道結石

膀胱から尿の出口までの尿道に結石がとどまる病気で、尿道が長い男性に多くなっています。膀胱結石が尿道に落ちることで起きることがほとんどです。

症状としては、下腹部の強い痛み、頻尿や残尿感などのほか、尿が出にくかったり、二股に分かれたり、勢いが弱くなることもあります。肉眼で分かる血尿が見られることもあります。

膀胱(頸部)腫瘍

膀胱腫瘍が膀胱の出口(頸部)に近いところにできると、頻尿、排尿時痛などの膀胱炎の症状の他、病気が進むと尿道を圧迫しておしっこが出にくくなり、まったく出なくなってしまうことも考えられます。

尿が出ないことにより、腎臓に尿がうっ滞し水腎症になって、腎臓の機能が低下することがあります。

尿道腫瘍

膀胱からおしっこが排出される通り道を尿道といいます。長さは男性で約20cm、女性で約4cmです。尿道がんはまれな病気ですが、早期から周囲の組織に広がる傾向があります。
原因としては、膀胱がんの病歴、繰り返す性感染症などがあります。

早期のがんでは症状が全く出ないことがあります。病気が進むと尿道から膿が出る、おしっこに血が混じる、排尿時に尿が出にくい、夜間に頻尿がある、会陰部や陰茎のしこり、足の付け根のしこりなどに気付くことがあります。

陰茎がん

陰茎の皮膚から発生するがんで、比較的まれです。高齢者に多く、局部の衛生状態が不良な場合に起こりやすくなります。

はじめはカリフラワー状の腫瘤やぶつぶつとした赤い皮膚の異常が現れ、大きくなると尿の通り道をふさぎ、尿がまったく出なくなることもあります。なかなか改善しない陰茎のびらんや発赤を見つけたら、泌尿器科医の診察が必要です。

真性包茎

陰茎の先端が皮膚(皮)で覆われている状態を包茎といいます。

皮の先の方が極端に狭くなっている場合は尿が出にくく、まったく出ないということも起こりえます。特に小児では尿路に感染を起こしたり、まれに腎臓に尿が滞って水腎症になったりすることがあります。その他、不衛生になる、性生活が困難になるなどのデメリットもあります。

神経因性膀胱

排尿をコントロールしている神経がさまざまな原因で障害されることにより、膀胱の機能が正常に働かなくなる状態です。症状としては、おしっこの回数が多い頻尿、尿が漏れてしまう尿失禁、排尿困難などが現れます。

原因として、脳卒中、パーキンソン病、糖尿病などの病気や外傷による脊髄損傷、ヘルニアなどがあり、放置すると尿路感染症が起きたり、腎機能が悪くなったりする場合もあります。

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このページの執筆した医師

桑満おさむ医師

このページの筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

患者さん1人ひとりのホームドクターになるという理念のもと、常に敷居が低くどなたでもお気軽に来院できるクリニックを目指しています。技術の向上はもちろんですがより新しい医療機器や治療方法・医学情報の提供につとめています。患者さんとの会話を大切にしています。

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