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おばあちゃんの知恵的に花粉症対策を考えてみる⋯花粉症の民間療法の効果は??

おばあちゃんの知恵VS花粉症を調べてみました

先日、3連続でバナナが花粉症に効果的という話を検証してみましたが、裏付けとなる論文に少々問題がある、との結論に達しました。おばあちゃんの時代はバナナはまだ高嶺の花の果物だったので、「バナナは花粉症に効果がある」という話は最近になって出てきたものとも予想できます。

日本人の三人に一人がかかっているかも、なんていわれてる花粉症ですから、そんじょそこらの医師なんて真っ青になってしまうような「民間療法の代表おばあちゃんの知恵 for 花粉症」があるはずです!!

以前、「花粉症の季節ですが、その傾向と対策と予防、そして民間治療!?」というブログを書きましたし、「花粉症の民間療法に厚生労働省は冷たすぎです(笑)」でも個別の民間療法についての検討はしていなかったので、今年は個別のおばあちゃん知恵的民間療法を調べてみました。

昔からあったわけではない花粉症の歴史

実は花粉症、花粉症って叫ばれだしたのはそれほど古い話ではありません。日本においては1960年代の初めにブタクサの花粉が原因でアレルギー性鼻炎症状が出た報告が最初と考えらえています。春先の花粉症の原因としてスギが一番有名であり、また被害者が多いのですが、このスギ花粉が原因で目や鼻にアレルギー症状が出現することを「栃木県日光地方におけるスギ花粉症Japanese Cedar Pollinosisの発見」というタイトルで医学専門誌(アレルギー 13(1・2), 16-18, 74-75, 1964 )に掲載したのが初めです。

ということになると、おばちゃんの知恵としての、昔からなんとはなしに言い伝えらえた病気に対する対処法はあったとしてもそれほど古い歴史をもっているはずがなく、たかだか戦後15年も経過してから花粉症という言葉がボチボチ言われだして、それに追随する形で花粉症に対する民間療法が考案された可能性が高いです。

残念なことに「おばあちゃんの子供の頃、おばちゃんのおばあちゃんに花粉症は◯◯を煎じて飲むと効果てきめんなんだよ、と教えられてね〜。」なんて感じのほのぼのとした話はあり得ない、というなんとも夢のない話になってしまいます、がっかり。

現在、おばあちゃんの知恵的な花粉症対策は最近つくられた可能性が大きい

という結果になってしまい、サプリ系あるいは健康食品系業界が新たに生み出し、それを商品化して販売、というなんともがっかりな結果になってしまいそうで、追及をやめようかと思ったくらいです。

昔ながらの民間療法の大ファンなんだけど

手元に「身近な自然食材で体が元気に!昔ながらの薬ごはん おばちゃんの知恵袋 特別編集」(宝島ムック)という本があります。ここに掲載されている花粉症に有効な食べ物は
・緑茶
・ターメリック入りのホットミルク
・甜茶にハッカの粉末
・柿の葉茶
・シソの葉ドリンク
・グアバ
・塩番茶に浸した脱脂綿を詰める
・鼻活マッサージをする
・ツボを押す
という方法が記されています。タイトルは「昔ながらの薬ごはん」であり「おばあちゃんの知恵」に則って健康になろうよ!という内容のはずなんですが

どう見ても、塩番茶に浸した脱脂綿はごはんじゃないよ!!

ですし、鼻マッサージ、ツボ押しも、おばあちゃんの知恵ではあるけど、「薬ごはんじゃないよ!!」と言いたくなってしまう内容です。

おばあちゃんの知恵的に食べ物で花粉症対策した場合

「ターメリック入りのホットミルク」なんて洒落た飲み物はおばあちゃんのイメージとかけ離れていますし、グアバなんて普通のおばあちゃんは知っているんでしょうか?南国出身のおばあちゃんならご存知かもしれませんが、グアバの原産地はカリブ海や東南アジアですけど、カリブ海でスギ花粉症が大問題になっている、との話は聞きませんのでこれも多分「擬似おばあちゃんの知恵」と判断します。

となると残るは

「柿の葉茶」「シソのドリンク」がおばあちゃんの知恵で薬ごはんの範疇に入ることになります

「甜茶にハッカの粉末」も一瞬おばあちゃん知恵的な花粉症対策と思われましたが、もともと中国で縁起のいいお茶とされて愛飲されていたもので、咳止め効果がある、とされていました。それをどこか日本の健康食品メーカーが目をつけて「花粉症に効果的」として販売したようですが、残念ながら独立行政法人国立健康・栄養研究所によって「信頼できる十分なデータが見当たらない」と判定されています、つまり「甜茶に花粉症を抑える効果は無い」ということです。健康食品の安全性・有効性情報というサイトで「甜茶」で検索すると、国立健康・栄養研究所の冷やかな回答を見ることができます(引用禁止と書いてありましたので、各自でお調べくださいませ)。

柿の葉茶、シソの葉は花粉症の症状に有効か?

せっかくのおばあちゃんの知恵、昔ながらのおばあちゃんが生活の知恵として伝承されてきて、それも食品で花粉症の症状を治すという厳しい条件でソートしてみると、残ったものは「柿の葉」と「シソの葉」というたった二つになってしまい、個人的には非常に悲しい気持ちになってしまっています。

1:柿の葉
柿のヘタがしゃっくりに驚くほど効果があることは以前ブログでお伝えしました(関連エントリー 「しゃっくりを止める方法」医学的治療VS民間療法、一発で治すことができるのは?)。

私はおばあちゃんの知恵的なものの大ファンなので、期待をもって「柿の葉は花粉症にメチャ効果あり」という結論を導き出したいのですが⋯。柿の葉の成分でastragalin(アストラガリンって書くのかな?)というポリフェノールのひとつの分類であるフラボノイドがあります。

これがアトピー性皮膚炎や花粉症に効果があるのではないか、と幾つかの研究施設で検証が行われています。確かに「Inhibitory effects of astragalin on lipopolysaccharide-induced inflammatory response in mouse mammary epithelial cells.」(J Surg Res. 2014 Dec;192(2):573-81. doi: 10.1016/j.jss.2014.05.059. Epub 2014 May 24.)という論文で炎症をこのアストラガリンが抑えるという結果が出ていますが、効果のあったのはマウス、つまりネズミです(ネズミに花粉症はないんじゃなのかな?)。

アトピー性皮膚炎にもある程度の効果が期待できることも、「Oral administration of persimmon leaf extract ameliorates skin symptoms and transepidermal water loss in atopic dermatitis model mice, NC/Nga.」(Br J Dermatol. 2002 Feb;146(2):221-7.)という論文から可能性が期待できます、でもこれも対象はマウス、つまりネズミです。となると少なくとも人間に対して柿の葉が花粉症に効果がある、と明確にした医学論文はまだ発表されていないようです。

2:シソの葉
シソの葉が花粉症の治療に有効である、という話もかなり苦しいです。これまたポリフェノールに分類される「ロズマリン酸」が効果を表しているようなんですけど、このロズマリン酸は名前から予想できるように「ローズマリー」から抽出されて命名されたポリフェノールなのです。

このロズマリン酸が抗酸化作用をもっていて、それによって花粉症の症状が押さえられる、という理論で説明されているサイトを見かけま「す。なんでも「抗酸化作用」って書くともっともらしくなってしまう今日この頃ですが、抗酸化作用とアレルギー、特にアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎を主症状とする花粉症って関係しているんでしたっけ??

多分「Extract of Perilla frutescens enriched for rosmarinic acid, a polyphenolic phytochemical, inhibits seasonal allergic rhinoconjunctivitis in humans.」(Exp Biol Med (Maywood). 2004 Mar;229(3):247-54.)がシソの葉のロズマリン酸が花粉症に効果がある、とする根拠となった医学論文と予想されます。対象はマウスではなく人間ですから、柿の葉よりは期待ができそうです。この実験では200ミリグラムのロズマリン酸が使用され、それなりの効果があったことが結果として書かれています。

しかし、岩手県工業技術センター研究報告 第15号(2008)の「片面シソ飲料に含まれるロズマリン酸の定量」という論文によれば以下のようになっています。

www2_pref_iwate_jp__kiri_infor_theme_2007_pdf_H19_24_pdf

つまり、花粉症に有効と考えらえる量のロズマリン酸を摂取するには1リットル前後のシソ飲料を飲まなければならないことになります。

「おばあちゃんの知恵VS花粉症」はどうもおばあちゃんに不利な結果が続々と出てくる可能性がありますので、この辺りで筆を置かせていただきます。