【正しくない消毒のまとめ】消毒したつもりは逆に危険だよ❗

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感染予防に大切なのは消毒。たとえば私達医師は手術をする前に丁寧に時間をかけて滅菌ブラシを使用して消毒薬剤で手指消毒をします。

感染予防の基本中の基本が消毒です。実は世の中に出回っている「除菌」という言葉は医学用語ではありません。除菌と似た言葉で「滅菌」という医学用語があり、これは医師が使う「消毒」とも違っています。

一般の方が生活をする上で「滅菌」は必要ないと思うので、正しい消毒方法を知るとともに、間違った消毒方法で感染予防になっていると判断することは危険でもあります。

間違った消毒方法の代表は「空間除菌」です

なんだか最近やたらと「空間除菌」という言葉が耳に入ってきます。空間を除菌することは、簡単なことではありません。なぜなら空間に存在している微生物(細菌やウイルスやその他もろもろ)全てに対して、厳密な消毒をすることは難しく医学用語の滅菌は不可能と断定できるくらいです。

たとえば古い古い空間を消毒する方法として石炭酸を使ったものがあります。石炭酸はフェノールともよばれ圧倒的な消毒効果を発揮する一方で毒性の強さが欠点です。

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環境省「化学物質の環境リスク初期評価」https://www.env.go.jp/chemi/report/h14-05/chap01/03/28.pdfより

微生物を退治しても、人体に対しては皮膚の化学損傷が起きる危険性もありますし、飲み込んだ場合は死に至る可能性さえあります。

空間に存在する微生物を退治するほどの消毒力がある薬剤は、当然人間も退治してしまう可能性があるのです。

となると、なぜか最近とくに今年になってからやたらと見かけるこれの消毒効果は期待できないですよね。

クレベリンにはエビデンスがあっても、その信頼度には問題あり❗

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消費者庁は空間除菌の製品の広告に対して景品表示法違反(優良誤認)に当たると再発防止命令を出しています。空間除菌製品の代表であるクレベリン、ウイルス対策としての使用は、安心感は得られても実際の効果は期待できません。クレベリンは製薬会社が販売していますが雑貨なのです。空間除菌のウソ・本当について医師が解説します。

さらに医学知識をもっていて、医者の友人が多い風を装っていることで多くの医師の失笑を買っているこの方が持ち歩いているオゾン消毒装置も危なっかしいと考えられます。

オゾン発生装置をイチオシする医療ジャーナリストと称する人の発言は無責任すぎるぞ❗

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次亜塩素酸水を空間に噴霧しても、アルコール消毒のように手指にスプレーしても新型コロナ対策にはならないばかりか、吸い込んだ場合は人体に有害であることが少しずつ周知されつつつあります。オゾン発生装置が効果ありとネット上で情報を拡散する人がいます。オゾン発生装置でウイルス対策は可能なのでしょうか?メーカーは認めていません。

オゾンの消毒力は半端ない一方で気体となった場合は厄介です。オゾンの毒性として呼吸困難が生じて死に至ることさえありえます。そのためにオゾンが残存する空間ではガスマスクを着用することが推奨されます。

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BC対策・パンデミックにおけるオゾンガス除染:安全なマスクの使用について

実験室や作業現場で空間を除菌することになれている方以外がオゾンを使用することはリスキーです。

正しい手指消毒はここまで徹底的に行います

なぜか本年に入って、私が愛用している手ピカジェルが入手しにくくなって、購入できたとしてもメッチャ高額でした。また、私の営んでいるクリニックで使用する手指消毒用のアルコールも入手が困難になっていて医師会から、アル中気味のオッサンが購入するようなペットボトル入の消毒用アルコールが配布されました。

アルコールを使ってよって手指をちゃっちゃと拭いても消毒できているとは言えません。例えば手術に入るとき外科系医師(私が専門とする泌尿器科も外科系ね)はこんな面倒な手指消毒(手洗い)をしてから滅菌された手袋を装着して手術に臨みます。

  • 流水で素洗い(20秒) → 消毒剤を使ってもみ洗い(20秒) → 手指だけでなく肘まで十分に摩擦しながら洗い、その後洗い流す
  • 消毒剤をつけた滅菌ブラシで爪をブラッシング(20秒)→ 手指に消毒剤をつけて両手爪のもみ洗い(20秒) → 指のもみ洗い(20秒)→ 手の甲のもみ洗い(10秒) → 指の間のもみ洗い(10秒)→ 肘までのもみ洗い(20秒) → 流水で肘から指先に向かって洗い流す
  • 水を十分に滅菌されたタオルで拭き取って、最後の最後に消毒剤をすりこむように手指を擦る(60秒)

以上が正しい手指消毒なのです(参考 和歌山医科大学 「手術時手洗い法(Surgical Scrub)」https://www.wakayama-med.ac.jp/med/clinical/use/index/img/guide_tearai.pdf)。

こんな面倒で時間のかかることを日常生活に取り入れることは現実的ではありません。流水をつかって、できれば石鹸も使用して30秒以上しっかり手を洗う、できれば指輪や時計も外して。

手洗いをしたあとでアルコール消毒をする場合はしっかり水分を取り除かないと、アルコールの濃度が下がって十分な消毒能力が期待できなくなります。

消毒したつもりになることはかなり危険です

空間除菌をすると称するグッズを使ったことによって、その空間の微生物が退治できているのだからといって安心することはかなりリスキーです。

例えばこんな例がありました。

「次亜塩素酸水なんて効果ないよ」国が公式表明を出せばGoToは中止にならなかった可能性

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新型コロナの感染拡大に伴い、GoToトラベル、GoToイートが中止になりそうです。GoTo政策は、感染者が増えなければ、国民にとっても業者にとっても有意義な政策だと考えられます。なぜ感染者は増えてしまったのでしょうか?感染予防対策の基本をしっかり実施していれば感染は広がらなかったのでは?その可能性について検討します。

まあ、タイトルはすっ飛ばしてください。入場者に対してなんかへんてこなものを噴霧して消毒した気になっているから、NHKは「感染対策を徹底」なんてことを報道してしまったのです(この画像は後日削除されました)。

入店時に備え付けの消毒剤(何を使っているのか不明な場合も無くはない)を手にとって、ちゃっちゃと手を擦って終了という方が多いようです。アルコールの場合、十分に効果を発揮させるためには手指全体にアルコールを行き渡らせる必要があります。また、十分にアルコールが乾くまで擦り合わせることがポイントです。アルコールをケチってはダメ。

入店時に手指を消毒するのは店内に微生物を持ち込まないためです。某ショッピングセンターで観察したところ、入店時に消毒剤を手にする人は約90%でした。ご自分の身を守るためには出店時に消毒をするべきです。私の観察結果としてお店を出るときに消毒している人は約10%程度でした。

消毒より気をつけることはこれ❗

なぜか本年2020年は花粉の季節でもないのにマスクをしている人が目立ちましたね〜、いまでは外出時にマスクをすることが普通の行動となっています。

なぜマスクをするのでしょうか?咳やくしゃみや大声を出したときにつばが飛びます。そのつばの中に微生物が混じっているために、他人に微生物を吸い込ませないようにするためにマスクをするのが一番の理由です。

私は感染症予防でいちばん重要なことは手指消毒だと考えています。しかし、こんな考え方もあるようです。

手指消毒こそ王道だと思っていたら、ソーシャルディスタンスも王道⁉

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感染症対策においていかにして自分を感染から守るかが重要ですのでマスクを着用したり、手指衛生をしっかり行うことが推奨されています。今回のコロナ禍でソーシャルディスタンス(Social Distance)という言葉が一般的になりました。Social Distanceの効果について興味深い論文を紹介します。

そりゃそうだよね、人と人の間隔さえ十分に取っていれば、他人のつばにまじりこんだ微生物を吸い込むこともないし、自分の汚染されたつばを他人に吸い込ませることも無いですから。

消毒したつもり、消毒したからといって自分は微生物に汚染されない、微生物を撒き散らさない、と思い込むことが危険なのです。

マスクをして、出来得る限り丁寧に手指消毒をして、対人距離を取る、これが微生物に感染しない、感染させない基本中の基本です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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