トイレが近い・回数が多い・頻尿

頻尿とは

おしっこが近い、回数が多い症状を「頻尿(ひんにょう)」といいます。

症状

通常、朝起きてから夜寝るまでの間に8回以上排尿する状態を頻尿といいますが、排尿回数は人それぞれですので、8回以下の排尿でもご自分で排尿回数が多いと思えば頻尿といえます。1回の排尿量は多い場合も少ない場合もあります。
また、夜間頻尿という言葉もあります。夜寝た後、排尿のたびに起きなければならず、日常生活に支障を来している状態です。夜間頻尿は加齢とともに増え、40歳以上の約4,500万人の男女に、夜間1〜2回以上排尿のために起きる夜間頻尿があるとのデータがあります。明らかに水分を多く摂取しているようであれば、水分摂取を調整することで改善しますし、病気が原因であれば治療により改善します。

頻尿症についてもっと詳しく知る

原因

頻尿の原因はさまざまで、膀胱炎、前立腺炎などの尿路感染・炎症、排尿筋が過剰に活動する過活動性膀胱、膀胱がんなどの腫瘍、排尿後にも膀胱の中に尿が残る残尿、おしっこの量自体が多くなる多尿、心理的なものである心因性などがあります。
特に過活動性膀胱は、日本で800万人以上の人がかかっているといわれる頻度の高い病気で、尿に膀胱が十分にたまっていないのに急におしっこがしたくなって我慢できなくなる病気です。
おしっこが近くなったり回数が増えたりすることは、加齢に伴う老化現象で起きることもありますが、原因がはっきりしないこともあります。
夜間頻尿の原因として、夜間多尿、膀胱容量の減少、睡眠障害が挙げられます。睡眠障害とは、眠りが浅くてすぐに目が覚めてしまうため、目が覚めるたびに気になってトイレに行くことです。

疑いのある疾患

細菌性膀胱炎

肛門や膣などの細菌が尿道を逆行し、膀胱の中で繁殖することが原因で起こる膀胱の炎症です。健康な状態では細菌は繁殖しないのですが、冷えやストレス、病気などで体の抵抗力が落ちると起こりやすくなります。

頻尿になり、1日10回以上トイレに行きたくなることがあります。排尿時に痛みを伴うことが多く、尿が白く濁ったり、血尿になったりすることもあります。熱は出ても微熱程度で、高熱になることはありません。

尿道炎

細菌、真菌、ウイルスが尿道に入ることにより起こります。女性は尿道が短いため、膀胱炎を併発することが多くなります。

症状としては、男女ともに排尿時の痛み、おしっこの回数が多い頻尿、尿意切迫などが見られ、男性で性感染症である淋菌またはクラミジアが原因の場合は、尿道からの分泌物が見られます。通常、原因菌に合った抗菌剤や抗ウイルス薬で治療します。

急性前立腺炎・慢性前立腺炎

急性前立腺炎は、尿道や血液を介して細菌が男性の生殖器の1つである前立腺に到達して感染したもので、高熱やおしっこが出にくい排尿困難、排尿時の痛み、おしっこの回数が多い頻尿がみられます。

一方、慢性前立腺炎は、細菌感染や前立腺の機械的な刺激が原因のこともありますが、原因がはっきりしないこともあります。慢性的な排尿時の痛みや頻尿、下腹部・陰部の不快感や違和感が主な症状です。

膀胱結石

膀胱から尿道にかけての尿の流れが悪いと、腎臓から尿管を通って膀胱に落ちてきた結石が膀胱にたまることになります。これが膀胱結石です。膀胱内に物質が結晶化して沈殿することにより、膀胱結石が生成されることもあります。

結石により膀胱が刺激されるため、不意におしっこしたくなる尿意切迫や、おしっこの回数が多い頻尿、排尿困難などの症状が現れます。

膀胱腫瘍

膀胱腫瘍のほとんどは悪性腫瘍、つまり膀胱がんです。男性に多く、60〜70歳が発症のピークです。膀胱がんの原因の1つとして喫煙が知られています。膀胱がんの7〜8割は、膀胱の内側表面にとどまる悪性度の低い膀胱がんです。

膀胱がんの最初の症状としては、目で見て分かる血尿が一番多く、血尿が持続するのではなく、しばらくすると止まることもあります。痛みを伴わないため放置しがちですが、血尿を見たら医師に相談することが大切です。

過活動膀胱

日本で約800万人以上の男女がかかっているといわれています。膀胱に尿が十分たまっていないのに膀胱が収縮し、急に尿意を感じ我慢できず、何回もトイレに行きます。1回の尿量は少なくなります。

原因としては、脳卒中やパーキンソン病など脳の病気、前立腺肥大症、加齢などが挙げられますが、原因不明なことも少なくありません。

前立腺肥大症

膀胱の出口にあり、尿道を囲むようにして存在する前立腺が肥大して、尿道を圧迫し排尿障害を起こします。その他、頻尿、夜間頻尿、尿意を我慢できない尿意切迫感、尿の勢いが弱い、残尿感などの症状が出現します。

加齢とともに増え、70才以上の男性の約70%に前立腺肥大症があるといわれています。治療として薬物療法や、外科的な治療があります。

尿道狭窄(にょうどうきょうさく)

交通事後などの外傷や尿道カテーテルを膀胱に留置している場合に、尿道炎などの炎症の後遺症によって尿道が狭くなり、尿が出にくくなる病気です。また、尿道の筋肉が過敏になって頻尿や尿漏れを起こす場合もあります。重症になると自力で排尿ができなくなり、適切に治療しないと尿路感染症や腎臓機能の低下の原因となります。

治療としては尿道の拡張や内視鏡的尿道切開などがあり、これらの治療後に再発する場合は尿道の再建手術を行います。

神経因性膀胱

排尿をコントロールしている神経がさまざまな原因で障害されることにより、膀胱の機能が正常に働かなくなる状態です。症状としては、おしっこの回数が多い頻尿、尿が漏れてしまう尿失禁、排尿困難などが現れます。

原因として、脳卒中、パーキンソン病、糖尿病などの病気や外傷による脊髄損傷、ヘルニアなどがあり、放置すると尿路感染症が起きたり、腎機能が悪くなったりする場合もあります。

萎縮膀胱(いしゅくぼうこう)

さまざまな原因で膀胱が委縮すると膀胱の弾力性と拡張性がなくなるため、尿をたくさんためることができなくなります。そのため急に尿意をもよおして我慢できなくなる尿意切迫、頻尿や下腹部痛などの症状が現れます。

結核性膀胱炎や間質性膀胱炎が進行した例、ある種の薬の刺激でおこる膀胱炎、抗がん剤の膀胱内投与などが原因で見られることがあります。

多尿による頻尿

多尿とは、一般的に1日尿量が3,000ml以上の場合をいいます。膀胱や尿道に特に問題がなくても、血糖コントロール不良の糖尿病や、尿を濃縮するホルモンが分泌されないなど内分泌の病気、水分の取りすぎ、薬(利尿剤)が原因となって多尿となる場合があります。1回のおしっこの量は正常でも、トイレに何回も行くと頻尿になります。

【日本だけ?】夜間頻尿治療薬のミニリンメルトが成人女性には処方できない理由

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桑満おさむ医師

このページの文責:桑満おさむ(医師)
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区で五本木クリニックを開院。

患者さん1人ひとりのホームドクターになるという理念のもと、常に敷居が低くどなたでもお気軽に来院できるクリニックを目指し、とくに日帰り検査・手術に力を入れています。技術の向上はもちろんですがより新しい医療機器や治療方法・医学情報の提供につとめています。患者さんとの会話を大切にしています。

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