反ワクチンの牙城「ナカムラクリニック」ってどんなところ?やっぱりヘンだった。

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反ワクチン派と言われている人々がいます。医療の素人がワクチンを恐れるのは我が国では江戸時代末期にもみられました。

ところが医師でありながら反ワクチン派と言われる方々もいます。人類の叡智とも言える「ワクチン」を疑ってやまないお医者さんのクリニックってどのようなところなのでしょうか?

ナカムラクリニックは精神科を専門とする普通のクリニックじゃん。

中村篤史先生が経営する「ナカムラクリニック」のウェブサイトを一見すると普通の精神科を専門とする医療機関のように思われます。

反ワクチン中村篤史医師の「ナカムラクリニック」HP

https://clnakamura.com/

しかし、ここ数ヶ月反ワクチン医師の急先鋒として「ナカムラクリニック」「中村篤史医師」とのワードが私の目に大量に入ってきて来るのは、波動医学なるニセ医学を喧伝している船瀬俊介氏を定点観測しているためなのかな?

船瀬俊介氏の時流に乗った「コロナワクチンの恐ろしさ」(成甲書房)の共著者として中村篤史先生のお名前が並んでいたのが決定打だと思います。しかし、ワクチンを打って2年以内に死ぬのなら接種率が7割を超えた日本の人口は3800万人程度に減少することになっちゃう、楽しみに2年待ちましょうね。

類は友を呼ぶ的に以前、船瀬氏はトンデモ系メタトロン信奉者である内海聡医師とも共著を出していたので、中村医師も高い確率でトンデモさんだと脳内が反応しています。

波動医学の必需品「メタトロン」とワクチンの深い関係。

波動医学の必需品「メタトロン」とワクチンの深い関係。

窪塚洋介さんイチオシの書籍「世界に広がる波動医学」は、トンデモ医学書です。影響力の強いカリスマ俳優がトンデモ本の教えを信じて発信してしまうことに強い危機感を覚えます。この世の中は嘘だらけで、多くの人が真実を知らない、といった若者が陥りがちな思想と反ワクチンは親和性が高すぎるのです。

ナカムラクリニックのウェブサイトを下にスクロールすると

当院は、オーソモレキュラー医学での診療を行っています。」そして、「当院は、点滴療法研究会の会員です。」と書かれているので、私の判断基準としてはかなり厄介なヤバいお医者さんであることが十分に知ることができました。

反ワクチン派のお医者さんはトンデモ系ニセ医学オーソモレキュラー療法の使い手だった(笑)

反ワクチン派のお医者さんはトンデモ系ニセ医学オーソモレキュラー療法の使い手だった(笑)

医師は、やぶ医者か否かという判断はさておき、一般的には勉強しっかりしていて常識あると思われがちです。残念ながら、医師免許を得るために学んだことと相反する思想・学問っぽい考えに感化されてしまう医師がいます。そんな医師の多くが傾倒しているのがオーソモレキュラー医学です。反ワクチンを唱える医師の多くはこれにハマっています。

ナカムラクリニック院長ブログとnoteが危なっかしい

私もトンデモさんを俎上に乗せたり非科学的な医学を批判するブログを書いていてしばしばスタッフに「院長!!やめてください、苦情の電話に出るのは私たちなんですよ!!キッー」と怒られています。

ナカムラクリニックの院長である中村先生も同じような環境に置かれているのでは無いかと、ある意味で戦友のような親近感を抱いたのがこれらのブログ記事です。

例えば「フルボ酸は酸化グラフェンの解毒剤」というタイトルのnote。

前もって説明しておくと「フルボ酸(fulvic acid)」は腐食土壌中に存在する有機物質で、フルボ酸入りのサプリメントなどが販売されています。しかし、フルボ酸を摂取したら何らかの人体にとって有用な働きをすることは全く根拠がありません。→原口一博議員、原発事故の処理水関連でトンデモデトックスサプリ広告記事を引用しちゃった❗

そんな評価が普通である「フルボ酸」によっては入っていもしない「酸化グラフェン」が新型コロナワクチンには入っていると主張し、その存在しない酸化グラフェンを解毒すると称してフルボ酸の有効性をnoteに書いています。

中村医師のnoteをまとめてみると、

  • ワクチンの副反応はとりあえず高濃度ビタミンC投与で治る(ありえないよね!!)
  • 作用機序は大切であると言いながら効果があるからメカニズムは後回し(うえっ、作用機序が不明なものを患者さんに投与!?)
  • とにかくフルボ酸はワクチンの酸化グラフェンを解毒する!!(だからワクチンに酸化グラフェンなんて入っていないって)

こんな感じの話を羅列しているのです。もっともらしい論文も掲載しているけど、ワクチンに酸化グラフェンが含有されているとしても、それを解毒するフルボ酸の効果を示しているのは藻やミジンコじゃん!!

「The effects of humic acid on the toxicity of graphene oxide to Scenedesmus obliquus and Daphnia magna」(PMID: 30173026)を中村先生はスクショしてフルボ酸が酸化グラフェンの毒性を解毒すると主張しているようですが、この論文はそもそも水生生物に関するものであり、タイトルにある「Scenedesmus obliquus」は藻だし「Daphnia magna」はミジンコなんだよね。※論文はフミン酸となっているけどフルボ酸を含む土壌はフミン酸も含んでいます。

ミジンコに効果があったとしても、それが人体に効果があることを証明するにはかなり長い年月が必要だと普通は考えるんだけど、独自の世界に入り込んでしまうエコーチェンバー状態だとこうなっちゃうのでしょうね。

酸化グラフェンとか言い出すから、こんなおっちょこちょいが出てきちゃう。

反ワクチンの酸化グラフェンデマに乗るトンデモ

https://twitter.com/SakanaHiko/status/1428248597330415624

オーソモレキュラーがニセ医学である理由

オーソモレキュラーというヘンテコな医学は罪深い大天才ライナス・ポーリングが言い出しっぺであることは今までしつこいほど書いてきました。

私はライナス・ポーリングは医学の生化学という分野を一気に発展させたことに貢献しているそんじょそこらの天才ではなく大天才だと評価しています。

しかし、オーソモレキュラーはどう考えても、真っ当な医学では無いですし、実際の診療には禁じ手だと考えられるのは、オーソモレキュラーが標準治療を比較した場合に優位である・効果的であることを裏付ける医学論文はナッシングだからなんです。

オーソモレキュラー療法がノーベル賞ダブル受賞者が生み出したトンデモである理由。

オーソモレキュラー療法がノーベル賞ダブル受賞者が生み出したトンデモである理由。

ノーベル賞受賞と聞けば信頼し、それが日本人なら手放しで尊敬してしまう、そんな人が多いわけですから、積極的に利用したがる人たちがいます。医師が薦めるものの中にはニセ医学も大分紛れ込んでおり、その代表の一つがオーソモレキューラーです。オーソモレキューラーとノーベル賞の関係を整理しつつその歴史を振り返ります。

いくらオーソモレキュラー信奉者である医師が、「オーソモレキュラーはエビデンスがあります」「効果を示す医学論文が多数あります」と言っても第三者の検証に耐えうる質の高い論文は現時点では見当たりませんし、今後も出てくる可能性は隕石にぶつかって死んじゃうレベルです。

オーソモレキュラー医学は陰謀論への道

こんなツイートがありました。

オカルトはこの世の隠された真理や秘密を解明する学問。

https://twitter.com/OkarutoEntame/status/1456993891152920579

実は私はトンデモさんと共にオカルトも若い頃から好きで通常では無い量のオカルト関連本を本棚に並べていますので、これは納得。

続いてオカルトエンタメ大学のツイートは

しかし「世界の真実を暴く」ために自分にとって都合の良い「世界の真実」と「敵」を作る事は本末転倒。

おお!例えば疑似科学系ニセ医学の伝道者船瀬俊介氏は世界の真実を暴くと言いつつ、その時の旬な話題を「敵」としていますね、どんどん陰謀論の深みにハマっていくことを私は観察しています。さらにオカルトエンタメ大学は

簡単な答えが出ない永遠の謎解きがオカルトの魅力なのに、陰謀論はそこをショートカットします。陰謀論はもはやオカルトではありません。

そうです、そうです、「波動医学」とか「オーソモレキュラー」とか言っている医師は謎を確実には解いていませんし、簡単に答えが出ない人体の謎や不思議をファクトに基づかないで自分や仲間の好みに合わせてショートカットを乱用しているのです。

めちゃくちゃ腑に落ちますよね。医学は科学的思考を取り入れながら「謎」を確実に解いてきました。しかし、医師がわかったようなことを言っていても、まだまだ謎はてんこ盛り。だからこそ医学はおもしろいのです。そしてこのような文章で締めています。

陰謀論はオカルトエンタメの範疇には収まらない社会悪になりつつあります。陰謀論との向き合い方は考えた方がいいかもしれません。

https://twitter.com/OkarutoEntame/status/1456992997258629121

オーソモレキュラーはオカルト的な擬似医学ではなく、陰謀論に絡め取られた社会悪の一つとして判断した方が良さそうです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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